不妊の原因について
妊娠を考える時には、一度は病院での検査が必要です。
原因が分かれば、対処できる可能性がありますから。
まだまだ解明されていないことの多い生殖医療ですが、代表的なものをご紹介します。
ここで注意してほしいのは、「原因」というのはすなわち「結果」だということ。
本当の意味での原因は何も分かっていないのだということをご理解ください。
不妊症の原因
1.特に原因なし
2.セックスレス
3.排卵障害
① 多嚢性卵巣症候群(PCOS)
② 黄体機能不全
③ 視床下部・下垂体性排卵障害
④ 卵巣性排卵障害
⑤ 早期卵巣機能不全
4.卵子の老化
5.妊娠の妨げになる異常や疾患
① 子宮内膜症
② 着床不全
③ 卵管異常
④ 子宮異常
⑤ 頸管異常
6.精子の質
この原因の中で、排卵障害や卵管因子、子宮内膜症、子宮・頸管因子に関しては、排卵誘発剤やホルモン療法、手術などにより、解決できる可能性があります。
また、男性の場合はホルモン剤やED薬、精索静脈瘤の手術などを行いますが、改善することが困難なケースが多いとされています。
この原因の中で、問題になるのは原因不明の不妊症です。
卵巣予備能低下も以前は、原因不明の不妊症に含まれていました。
原因不明は不妊治療の総数の20%程度と言われています。
実際、多くの不妊患者さんと接していると、治療法のある不妊症に関しては、比較的容易に妊娠に至ります。
しかし、原因がないにも関わらず、妊娠しない方は、不妊治療を何度も何度も繰り返す、『妊娠できるまで続ける』というサイクルに突入してしまいます。
ここで考えなくてはいけないのは、不妊症の原因の原因は何かです。
原因の原因?
と思うかもしれませんが、例えば多嚢胞性卵巣症候群が不妊の原因になるといわれています。
多嚢胞性卵巣症候群は「両側の卵巣が腫大・肥厚・多嚢胞化し、月経異常や不妊に多毛・男性化・肥満などを伴う症候群」をいいます。
月経異常と超音波による多嚢胞卵巣、血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常が診断基準となっています。
ではなぜ多嚢胞性卵巣症候群になったのでしょうか?
日本産婦人科学会では原因についてこう書かれています。
原因は完全に解明されているわけではありませんが、脳下垂体から分泌されるホルモンと、卵巣から分泌される女性ホルモンのバランスが崩れ、排卵が障害されると考えられています。
これは原因ですか?
何も原因について触れていないように思います。
よって治療は薬によってホルモンバランスを整える、もしくは排卵誘発剤を使って排卵させるという対症療法になります。
では私たちの鍼灸治療はどう対応すべきでしょうか?
鍼灸治療の方法には、標治法と本治法があります。
標治は症状に対する対症療法を指します。
本治は、その病気の原因を治療することを指します。
不妊が標治であり、多嚢胞性卵巣症候群が本治であり、多嚢胞性卵巣症候群になった原因を解決しなければ本当の意味の治療ではありません。
よって、不妊症の原因の原因を治療することが東洋医学に求められているということです。
この原因の原因を、同じ土俵で考える必要はありません。
それぞれの立場で原因を追究することで、不妊の治療法が浮き彫りになってくることを医師も鍼灸師も栄養師の誰も考えていません。
その理由は、一人の治療家がすべての知識を網羅していないからです。
それぞれの専門家を上手に使って妊娠をつかみ取りましょう。